【古典に学ぶ】甲骨文字について
甲骨文字は殷時代(紀元前1300年)において使用されていた最古の漢字です。
主に占いや占いの記録に使用されていました。
亀の甲羅や牛の肩甲骨の表面に刀で甲骨文字を刻み、裏面には円形の鑽(さん)や楕円形の鑿(さく)という窪みを作り、そこを局所的に火で熱して急激に冷やした時に生じた表面のひび(ト兆)の様子によって吉凶が占われていました。
甲骨で何を占っていたのか?
占われていた内容は祖先神の祭祀、異族の征伐、農作物の豊凶、気候、狩猟などあらゆることが人間ではなく神のお告げを頼りに生活していたことが甲骨文字から見て取れます。
また刻まれていた甲骨文の内容は以下のようなものです。
- 占いの内容
- 王の判断
- 結果的に起こったできごと
などです。
占いの裏に潜む陰謀
ひびの入り方で占いの決定をされていたとされていますが、実際は異なるようです。
あらかじめ文字を刻んでいるのであれば、文字の中をひびが突き抜けるはずです。しかし、実際の甲骨文ではひびを避けて文字が刻まれています。したがって、占いをしてから文章を書いたことが推測されます。
政治の決定として占いを使用されていたとされていますが、王の神格化を目的としていたようです。王の威厳を保つため、政治の決定の裏付けとして占いを利用されていていたということが推測されています。
あらかじめ下書きとして朱書きしておき、その上に刀で刻していることを踏まえると、この時代にもすでに簡易的ではあるが木の枝に動物の毫毛(細い毛)を結び付けた筆が存在していたことは確実である。
甲骨文字発見の歴史
1899年、清朝の大学長であり金石学者・古物収集家の王 懿栄 がマラリア(蚊の感染病)の持病を持っており、
マラリアの治療薬をである龍骨(生薬の一種で哺乳類の化石など)を手に入れた際、文字らしきものを見つけ研究し金文よりも古いことが分かかりました。これがのちに「甲骨文字」と名付けられます。
甲骨文に使用されている文字の数は約5000字。読解することができる文字は2000字ほどです。
甲骨文字の特徴
甲骨文字の字形は単純で、線質は直線的だという特徴があります。直線が基本ですが、曲線的な線質も見受けられています。
骨は硬いため、複雑な線質を刻むのが難しかったと推測されます。筆順は、同一方向の線を刻んだ後、他の同一方向の線を刻んでいたため、勢いのある角ばった文字となっています。